2023.03.17(金)
活動情報
「第四回近江の子ども俳句教室(投句部門」)大賞作品発表のお知らせ
特定非営利活動法人 現代の教育問題研究所 )

NPO法人現代の教育問題研究所では、本年度も「第四回近江の子ども俳句教室(投句部門)」を開催し、全国から3000句を超える応募をいただきました。

 

応募してくだった皆さま、素晴らしい作品の数々、感動の俳句をありがとうございました!

 

 

その結果について次のとおり、お知らせいたします。

なお、入選作品等の詳細につきましては、ホームページをご覧ください。

 

 

【大賞作品 】 26句

滋賀県知事賞  滋賀県彦根市立城南小学校 5年

チューリップ かなしい時も 赤がすき   北川 遙愛

【選評】吉永 幸司(理事長・元京都女子大学教授・同附属小学校長)

「何色ですか」と問われたら、遙愛さんはきっと「赤色です」と答えるのでしょうね。そう思ったのは、「かなしいときも」という言葉、その中でも、特に、「も」という一文字です。想像ですが、遙愛さんが好きな花の中にチューリップが入っていると思っています。赤色は太陽のように明るく元気を与えてくれるので人気があります。嬉しい時に見るチューリップと違って、悲しい時の気持ちを表現しているところも印象に残りました。

 

大津市長賞  和歌山県有田川町立藤並小学校 4年

ランドセル こっそりカイロ 母の愛  上嶋 杜和

【選評】三上 昌男(元近江八幡市立金田小学校長)

冬の朝、登校中はとても寒く、学校に着いたころには手足がかじかんで、思うように動かない時があります。杜和さんが、ランドセルを開けて教科書などを取り出していると、カイロを見つけたのですね。「こっそり」という言葉の使い方が上手で、お母さんが内緒で入れてくださっていたことが分かります。「母の愛」と言い切っていることから、お母さんへの感謝の思いが伝わってきました。読んでいて、心が温かくなる作品です。

 

草津市長賞  滋賀県彦根市立河瀬小学校 5年

夏の夜 青を分け合う 空と海   松野 陽向

【選評】蜂屋 正雄(野洲市立北野小学校)

大自然の奥深さや人智の及ばぬ調和や摂理のようなものを感じさせてくれる句です。四季の中で一番生命感が溢れる夏の、(昼間の楽しい、美しい雰囲気とは変わって、)夜の空と海という大自然に、一人で向き合っている陽向さんの姿が想像されます。青さが感じられるのは月が出ているのでしょうか。その中で、同じ青でも空は空らしい青、海は海らしい青で広大な空間を「分け合って」いる。大自然の偉大さを再認識させられる句です。

 

滋賀県教育長賞  京都府京都女子大学附属小学校 2年

ひなまつり 十二ひとえを きてみたい   葛山 日向花

【選評】山田 定子(近江八幡市立安土小学校)

ひなまつりは、女の子の美しい成長と幸福を願うものですね。そんなおひなさまの着ている十二ひとえの着物は、とてもきれいです。日向花さんが着てみたいと思う気持ちがよくわかります。「十二ひとえをきてみたい」という言葉から、きれいなお人形おひなさまにあこがれる女の子の気持ちがよくあらわれています。日向花さんが、十二ひとえを着たらどんな女の子になるのか、思い浮かべるだけで、とても楽しくなってきますね。

 

大津市教育長賞  滋賀県長浜市立虎姫学園 5年

手の上で トランポリンする 焼きいもが   土田 絢葉

【選評】少徳 信(彦根市立河瀬小学校)

できたての焼きいもを、今まさに食べようとしているところでしょうか。「トランポリンする」の表現からは、焼きいもがまるでトランポリンで楽しくとびはねるような様子や絢葉さんの心はずむ気分がよく伝わってきます。焼きいもの動きに注目したことで、絢葉さんの目を通して、読み手も明るく幸せな気分を一緒になって楽しむことができます。絢葉さんの豊かな言葉の感覚が光る一句だと感じました。これからも、幸せな気分をたくさん俳句にしてくださいね。

 

草津市教育長賞  和歌山県有田川町立鳥屋城小学校 5年

あざやかに 炎天きりさき ホームラン   関下 紘右

【選評】北川 雅士(彦根市立城南小学校)

真夏の太陽が輝く青空をホームランが飛んでいきます。ホームランを打ったのは紘右さん自身なのでしょうか。「あざやかに」という言葉から飛んでいく角度や距離その軌跡が美しいものであったことが伝わってきます。ボールが空を「きりさく」ようにあざやかなホームラン、きりさかれた空を表すために「炎天」と言う言葉で表現したこと。紘右さんの十八音の言葉選びのセンスに驚かされました。とてもかっこいい一句です。

 

草津俳句連盟会長賞  滋賀県大津市立瀬田小学校 1年

はれたそら げんきになわとび 木よう日   髙橋 真子

【選評】森 邦博(副理事長・京都女子大学非常勤講師)

よくはれた秋の日の木よう日。そのすみきった青空の下でとんであそんだなわとびの気持ちよさ。この句の「はれた」と「げんき」をとくにしっかりと声に出してリズムを取って読んでみると、真子さんといっしょに笑顔いっぱいなわとびあそびをしてみたくなります。歯切れのよいこの句から、真子さんはきっと元気な一年生なのだろうなあと思いました。

 

朝日新聞大津総局長賞  京都府京都女子大学附属小学校 5年

ゴーグルで 日焼けのあとが ちょうみたい   野波 桃李

【選評】好光 幹雄(実行委員長・大津市立瀬田小学校)

真夏に海や川に丸一日泳ぎに行ったのでしょうか。家に帰って鏡をのぞくと、ゴーグルの日焼けのあとが、まるで蝶みたいにくっきり鮮やか。それを見てくすっと笑い、もう一度楽しかったことを思い出している様子がありありと浮かんできます。おそらくご家族の皆さんも同じようにくっきり蝶みたいな日焼けのあとを見て、お互いに笑い合ったのでしょうね。「ちょうみたい」とたとえた桃李さんのユーモアのセンスが光る一句です。

 

毎日新聞大津市局長賞  滋賀県草津市立笠縫東小学校 5年

セミをとり それをにがした 青い空   緒方 大貴

【選評】長江 柳子(元京都女子大学附属小学校教頭)

とったセミの命の時間を考えたのでしょうか。そのセミを青い空に向かって逃したという晴れ晴れとした気持ちが伝わってきました。「青い空」と言い切っていることで抜けるような青空の中にセミが飛んでいく様子が想像でき、開放感のある力強い句になっています。また、「それをにがした」の「それ」という言葉から、大貴さんが第三者として見ている様子も感じとれ、高学年としての描写力もある素晴らしい俳句になっています。

 

読売新聞大津支局長賞  滋賀県大津市志賀小学校 2年

母はおに まめまきしてよ お父さん   水谷 優希

【選評】海東 貴利(高島市立安曇小学校)

ときどき鬼になるお母さん、いつも優しいお父さん、そして、ご両親をうれしそうに眺める優希さん。そんな温かい家族のほのぼのとした節分の日のようすが浮かんできました。一年のある一日の出来事を表した句ですが、優希さんの日々の成長をいつも温かく支えている家族の愛情を感じることができる素敵な作品です。「豆まきしてよ」とお願いされたお父さんは、この後、どんなふうにお母さんに豆を投げたのでしょうね。

 

中日新聞社賞  兵庫県西脇市立双葉小学校 6年

すいとった トマトの元気 雑草め   安原 ウメ

【選評】北島 雅晴(野洲市立北野小学校)

ウメさんはトマトを大切に育て、しだいに成長するすがたを楽しみにしていたことでしょう。それをじゃまする雑草。最後の「め」に、くやしさがにじみ出ています。この作品は、言葉の組み合わせがみごとです。はじめの「すいとった」から、「いったい何のことだろう」という思いがわき、「トマトの元気」へとつなげるところがすばらしいです。これからも、いろいろな野菜を育て、成長に喜びを感じる優しさを大切にしてください。

 

産経新聞社賞  滋賀県大津市立中央小学校 2年

やえざくら 太陽あびて わらってる   仲地 心菜

【選評】北川 雅士(彦根市立城南小学校)

あたたかな太陽の光をあびながら、満開に咲きほこる桜の木が並ぶ風景をイメージしました。色々な桜がありますが心菜さんが「さくらのき」ではなくて、「やえざくら」と表現しているので、たくさんの花びらをいっぱいに広げたさくらが咲いているのがわかります。また、「わらってる」という表現がいいですね。満開の桜の木を人間のように表現するというのは大人でもできないすごいテクニックです。心菜さんの言葉選び、表現力の高さにおどろきました。

 

エフエム滋賀賞  京都府京都市立西陣中央小学校 1年

大文字 いつもおくり火 ありがとう   石橋 空明

【選評】弓削 裕之(京都女子大学附属小学校)

京都ならではの季節感がある俳句ですね。「いつも」という何気ない言葉から、空明さんが毎年送り火を楽しみにしていることがよくわかります。空明さんにとっての五山の送り火は、きっと、家族と一緒に過ごすかけがえのない時間になっているのでしょう。「ありがとう」に込められた思いを想像し、あたたかな気持ちになる一句です。

 

FMおおつ賞  滋賀県日野町立桜谷小学校 2年

朝一おきて 日野菜つけもの まっている   隅 湖春

【選評】箕浦 健司(長浜市立南郷里小学校)

冬の朝、寒さに震え白い息を吐きながら食卓へ。そこにはいつもの日野菜漬け。湖春さんやご家族のみなさんにとって、日野菜漬けはもはや生活の一部、ということが伝わってきます。また、この句からは、いろんな音が聞こえてくるようです。台所で、トントントンと日野菜を切っておられる音。カリカリッと噛む音。「おはよう」「寒いね」「おいしいね」といった家族の会話。伝統野菜と共にある生活の雰囲気が、しみじみと感じられる句です。

 

えふえむ草津賞  滋賀県高島市立朽木中学校 3年

風邪ひくで 聞き飽きました お母さん   松川 さくら

【選評】高野 靖人(理事・元大津市立仰木の里東小学校)

小学校が中心の「近江の子ども俳句教室」に中学校から参加していただいたことに、まず感謝します。冬本番。雪の多い朽木の町。さくらさんの家庭での行動を見て発したお母さんの言葉。「寒いね」じゃなくて、「風邪ひくで」の方が、温かく感じますね。「風邪ひくよ」ではなく、「風邪ひくで」の方がやわらかく感じますね。その言葉も「聞き飽き」るほど、長く厳しい寒さであることが、伝わりました。春が待ち遠しいです。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  滋賀県草津市立笠縫東小学校 5年

赤ちゃんの 泣き声きいて さくらさく   三上 哲平

【選評】西條 陽之(大津市立小野小学校)

春はたくさんの命が動き始める季節です。花も虫も動物たちも、冬にためていたエネルギーを一気に開放して生きる喜びを表現するのです。赤ちゃんの泣き声にある、命の輝きや力強さを感じて桜の木も美しい花を咲かせたのでしょうね。同時に、哲平さんの心の中にも感動の花が開いたともとることができます。命に対する温かな感性や感動がぎゅっと詰め込まれているたいへんすばらしい句です。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  滋賀県草津市立笠縫東小学校 4年

弟が はいはいできた 秋の夜   三上 和奏

【選評】北島 雅晴(野洲市立北野小学校)

「秋の夜」から静けさが伝わってきますが、そんな中、弟さんが元気にはいはいする様子がうかび上がってきます。周りでは、家族みんなが笑顔で見守り、弟さんをとてもかわいく思っていることが分かります。弟さんは、日に日にできることが増えていきます。そんな弟さんの成長を見守りながら、これからも優しさのあふれる俳句を作ってください。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  京都府京都女子大学附属小学校 6年

おいもほり 六人家族 見つけたよ   米津 桃子

【選評】森 邦博(副理事長・京都女子大学非常勤講師)

五七五のリズムがよく、声に出して読むと、桃子さんの弾んだうれしい気持ちが伝わってきます。その日は育てたサツマイモを掘り出す日。「うんとこしょ」と力いっぱい引っ張ったら、いくつもイモが連なって、「いっぱい出てきたー!」とうれしそうに叫んでいる桃子さんの思いっきりの笑顔も見えるようです。大きいイモ、小さいイモの連なりを、これはまるで家族だと見立てた言葉の選び方にも感心しました。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  京都府京都女子大学附属小学校 4年

おにごっこ 先に友追う 白い息   田仲 那帆

【選評】少徳 信(彦根市立河瀬小学校)

仲の良い友達と、おにごっこを心から楽しむ那帆さんの様子がありありと浮かび上がってきます。「白い息」からは一生懸命走る様子だけでなく、友達の名前を呼ぶ声や笑い声なども聞こえてきます。さらに、「先に友追う」としたことで、一句に奥行きが生まれ、友達を追いかける那帆さんの目の前の景色がより一層鮮やかに広がりました。見えたものを丁寧に表現したことで、おにごっこが那帆さんにとってキラキラした楽しい時間だったことを感じさせてくれる一句に仕上がりました。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  京都府京都女子大学附属小学校 1年

なつぐもや はたけかけまわる ぼくとカエル   浮村 聡一

【選評】海東 貴利(高島市立安曇小学校)

「夏色」が鮮やかに映える作品です。青い空に真っ白い雲、みずみずしく実った畑の野菜、日焼けした僕と蛙。とても眩しくなるような色使いです。見上げた空から視線を地面に落とし、畑の中をかき分けると元気な生き物を発見。そして、飛び出してきた蛙といっしょに、汗びっしょりになりながら走るエネルギッシュな聡一さん。まさに、躍動的で、奥行きのある情景を思い浮かべさせる巧みな作品です。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  滋賀県長浜市立虎姫学園 1年

ふゆがきた つめたいゆきが やわらかい   松本 一輝

【選評】三上 昌男(元近江八幡市立金田小学校長)

冬が来たなと感じる場面はいろいろありますが、初めて雪が降り積もった景色を見たとき、いつきさんは、「ふゆがきた」と強く感じたのですね。さっそく外に出て、雪をさわってみたのでしょう。冷たくて、やわらかい雪の様子を素直に表現できていて、雪をさわったうれしい気持ちまでも伝わってきました。この後も、楽しそうに雪遊びをしているいつきさんの姿が、目に浮かんできます。冬を楽しむ心が素敵です。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  滋賀県長浜市立虎姫学園 3年

おとうとが はじめてきたよ 入学式   小﨑 恭弥

【選評】山田 定子(近江八幡市立安土小学校)

大好きな弟さんが入学してきて、恭弥さんのお兄さんとしてとてもうれしい気持ちがよくわかります。弟さんにいろんな事を教えてあげたい、一緒に遊びたいと期待をふくらましている様子が目に浮かびます。弟さんも、きっと学校でいろんな事ができるのを楽しみにしていることでしょう。兄弟が仲よく登校したり、楽しく学校で過ごしたりする様子をおうちの方もいろいろ想像をふくらませて、ほほえんでおられることでしょう。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  滋賀県東近江市立能登川南小学校 5年

新米で 笑顔あふれる 家の中   箕輪 葵琉

【選評】弓削 裕之(京都女子大学附属小学校)

この季節に、お米の味のことが話題にあがる葵琉さんのおうちの食卓がとても素敵です。家族みんなが新米を楽しみにしていることが伝わってきました。お互いに顔を見合わせてご飯を口に運び、自然と笑みがこぼれる様子が目に浮かびます。「家の中」という言葉を選んだことで、幸せが「あふれる」感じが際立つ、巧みな俳句です。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  大阪府八尾市立八尾小学校 4年

ころころと おおきくなるよ 雪だるま   髙橋 蓮

【選評】箕浦 健司(長浜市立南郷里小学校)

蓮さんのお家に雪が降り、友だちやご家族と作ったのでしょうか。学校の運動場でしょうか。それとも、どこかの雪国へ、ご家族とお出かけされたときの思い出なのでしょうか。このように、読んだこちらの想像も膨らみます。最初は小さかった雪玉が、ころころと転がすほどどんどん大きくなっていく。それと一緒に大きくなる、雪玉を押す手の力や、蓮さんのわくわくする気持ち。また、周りの歓声。ほっこりと心温まる一句です。

 

 

NPO現代の教育問題研究所賞  滋賀県野洲市立北野小学校 4年

とどいたよ じいちゃんからの さつまいも   中西 桃花

【選評】北川 雅士(彦根市立城南小学校)

離れて暮らすおじいちゃんから届いたさつまいもを手に取りながら喜ぶ、桃花さんの声がこちらにも聞こえてきそうな一句ですね。とくに良いと思ったのははじめの五音です。「とどいたよ」の「よ」の一文字があることで、届いたことを知らせたい桃花さんの気持ちをより強く表現できていますね。「おじいちゃん」ではなく「じいちゃん」としているところにも普段から親しくやりとりをしている様子が伝わります。この句でおじいちゃんに思いが届くといいですね。

 

NPO現代の教育問題研究所賞  滋賀県高島市立安曇小学校 4年

ぎんいろの さんま輝く 三日月だ   土井 美緒奈

【選評】少徳 信(彦根市立河瀬小学校)

目の前で光りかがやくさんまを、まるで三日月のようだと表現しました。「ぎんいろのさん

ま」にとどまらず、「三日月だ」と描写したことで、ギラギラと光る立派なさんまの迫力が伝わってきます。きっと、言葉にならないくらいおいしいさんまだったことでしょう。海の生き物であるさんまを、夜空にかがやく三日月のようだととらえた美緒奈さんの大胆な発想力におどろかされました。美緒奈さんの持つ、美しく鮮やかな感覚を大切に、これからも俳句を作ってくださいね。

  • 第四回近江の子ども俳句教室作品集
この投稿の発信者
NPO法人 特定非営利活動法人 現代の教育問題研究所
良い言葉、美しい言葉を学べばそれを社会生活の中で活かすことができ、言葉で考え言葉で自らを奮い立たせることができる、「国語力は人間力」の理念の認知を広め、子供の健全育成と社会教育のより一層の推進を図る様々な活動をしています。